無知の知ノート

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地域犬や地域猫がいっしょに暮らす町って その土地の人たちの心の余裕が見える気がする  

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あの時も 肌寒いこんな季節だった 

 

裸ネズミのような その小さな四つの物体は 
公園で遊ぶ子供達の 自転車かごの中で揺られていた   

 

たまたま通り掛かって 子供達に尋ねると 


「空き地で見つけた  シロの子供 シロは連れて行かれた」 

 

 

野良犬シロは 
産まれたばかりの子犬を残して捕獲されたというのだろうか 

 

 

自転車かごの中で子犬達はすでに冷たくなっている 


自分達で育てるんだという子供達にお願いして 

4つの命を預かって 車で5分ほどの動物病院へと急いだ   

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すぐに湯舟酸素吸入器が用意されて

子犬達のマッサージが始まった 


「手が足りない 手伝って!」 「ハイ!」 


湯舟で温めて 心マッサージ そして酸素吸入 


素早くその繰り返し  


獣医の手順を見よう見まねで 私は必死だった 

 

「この子はもうだめだな」 


ひとつの命が消えた 


時間は過ぎてゆき 絶望感が漂った 


「助かったとしても脳障害残るよ どうする? 
 楽にしてあげた方がよくない?」


「楽にって、、、」


「注射でね、、、 うちらも辛いんだよね こういうの、、、  
 どうするか決めて」 


言葉が出ない  

 


獣医は私の返事を黙って待っている 

彼も辛いんだ 

 

「おねがいします」 


喉の付け根あたりに熱い塊のような痛みが走った 


小さな体に針が刺されるのを 私はしっかりと確認した 

 

「あっ 待って! その子は動いてます ダメなんですか?  
 助かる見込みないですか?」 

 


最後のひとつの命を抱いて 家へ帰った 

 

 

どちらにしても今夜が峠だと言われて 

私は一晩中その子を見つめた


貸し出していただいたヒータープレートの上で 

時折動く小さな手足が


「生きたいよ!」と訴えているように思えたのだ  


でも結局 それは私のエゴでしかなかった 

 

 

明け方 

腹部が大きく波打って 最後の呼吸が止まった  


私がしたことは 
その子の苦しみを引き延ばしただけのことだった 

 

ごめんね、、、寒くて辛かったね 
次に生まれてくる時は 暖かい所に生まれておいで 

 

 

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TVでみる「世界旅歩き」などの番組では  

野良犬が自由に歩き回り 町の馴染みの人たちと交流する様子があったりする 

 

例えばイスタンブールでも  

野良猫が町の人たちに大切にされていて 

商店の売り物の絨毯の上でさえ 安心して昼寝する姿もある   

 

 

そういえば最近  

私が住むこの町では 野良をみなくなった 

 

5年ほど前 

中学校横の土手には野良犬たちのコミュニティみたいなのがあって 

子犬も含めて10頭ほどが暮らしていた 

 

人に何ら危害を与える存在ではなかったのに 

ある日突然 1頭残らず いなくなった 

 

野良犬シロが連れて行かれたと子供たちが言っていた中央公園横の草むらは

その後 区画整理されて数件の家が建った 

 

 

地域犬や 地域猫がいっしょに暮らす町って  

羨ましい  

 

その土地の人たちの 心の余裕が見える気がする  

 

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