ある不倫の顛末
(登場人物は 仮名)
ともさん 45歳男性 妻 ふたりの子供 大手企業サラリーマン
まみちゃん 25歳女性 独身 OL
ともさんとまみちゃんは
私のダンスレッスン大人クラスの 熱心な生徒だった
いつも笑顔のまみちゃんは ダンスセンスもよくて
性格は あっけらかんとした良い子
いつだったか
頂き物のビールが(ウチはビールを飲まないので)箱で余っていて
捨てるのはモッタイナクテ処分に困っていると言ったら
「ソレください! おうちまで取りに行きますから」
「いいけど 賞味期限がね あと数日しかないww」
「あー全然問題ないデス うちの親 賞味期限って
1か月くらい過ぎてるのってフツウに平気ですから」
まみちゃんは 賞味期限のないビールを 取りに来てくれた 笑
ともさんは
ダンス仲間の交流の場として作ったホームページの掲示板にも
積極的に参加してくれたり
私がソロを踊るイベントの際には 必ず花束持参のダンディーさをみせる人だった
このふたりの不倫関係に 鈍感な私は全く気付いてなくて
まみちゃんがダンスを突然やめると言った時も
来る者拒まず 去る者追わず を信条としている私は
とても残念に思ったものの 理由を尋ねることはしなかった
まみちゃんが教室をやめてから しばらく経って
頻繁に来るともさんからのメール内容は 恋愛相談だった
「いま真剣に恋をしててさ」
その相手は私の知らない女性だと言い切っていたから
これまた鈍感に気付きもせず 話を聞かされる私
50代を目前にして 男として?焦るんだとか
プライド投げ捨ての相談だったが
ともさんの奥さんとは2度 面識がある
良妻賢母な温和なイメージ
恋愛相談されても 心境複雑なんだけど、、
「25の女の子が俺の相手してくれるんだよ~」 のセリフには
ちょっとゾッとした
鈍感な私が ようやく相手がまみちゃんだと気付いてからは
相談内容はどんどんリアルになって
彼女のために部屋を借りたこと
会社と自宅の中間地点に 段取りよく借りたこと
家族を捨てても彼女との人生を考え始めていること
奥さんが気付いているかもしれないこと
中でもショックだったのは ふたりの不倫のキッカケが
私が企画主催した 某ホテルでのダンスイベントパーティーだったこと
「彼女との恋がもし終わっても キット奥さんにも子供たちにも 捨てられる 」
「 覚悟はある?」
キツいアドバイスを送ってしまった
その後の経緯を 詳しくは知らないけど
数か月後 ともさんからのメールでは
「別れた。 好きな男性と出会えたらしい」
彼女のために身を引くとか
奥さんとは 少しギクシャクしたとか
運よく子供たちにはバレなかったとかの内容だった
2年後 驚いたことに
主催する舞台の楽屋に 花束を持って まみちゃんが来てくれた
結婚して隣の県に住んでいるそうな
「もうすぐベイビーが」と 大きくなったお腹を擦りながら
シアワセいっぱいの笑顔だった
ともさんの話はいっさいしなかった
ともさんが私に ふたりの事情を話していることを
彼女は たぶん知らないだろうと思うし
「シアワセそう!よかったね♪ きょうは来てくれてありがとう」
彼女に掛けた言葉はそれだけだった
バタバタしてしまって 気付くと
もう 彼女の姿は楽屋から消えていた
その日 ともさんからは 舞台に花束が届いていて
カードが添えられていた
「ゴメン仕事で きょうは観に行けなくて残念」
まみちゃんにも ともさんにも 奥さんにも
もう何年も 会っていない
誰も傷つけない不倫なんて
ありえない