迷っているあなたへ (ピアノと花を捨てた日のコト)
ホテルのロビーやカフェや レストランなどで
ピアノの弾き語りをしていた
30分演奏して30分休憩の3ステージ
短い拘束時間で得られる収入は悪くはないし
選曲やアレンジにも工夫をして
プライドを持って仕事をしていたけど
所詮はその場のBGM
辞めることに さほどの未練は無かった
仕事をしていた頃に比べると ピアノの蓋を開く日は少なくなり
グランドピアノは大きすぎる調度品になってしまって
ドーンと リビングに幅をきかせていた
・・・ピアノ捨てようか 出窓までカニ歩きしなくて済むし
結婚当初は 出窓に毎日花を飾るのは
主婦のお約束仕事みたいに頑張っていた
けど
本当は 花は好きではない
野に咲く花は 好きだけど
花瓶の花は
萎れて うなだれて 茎は水に腐って 溶けていく
ドロッとなってしまった花瓶の水を取り替えるたびに
刹那さに ゾッとしてしまうのだ
刹那 といえば 高1の夏休み
宿題で 百人一首を全部覚えた
新学期になって
「百人一首 全部覚えてきた人~」という先生の問い掛けに
誰ひとり 手をあげない中
ひとり手をあげる勇気が出せなくて
先生の悲しそうな顔を じっと見つめるだけだった
もうほとんど忘れてしまったけど
一首だけ スラッと言える
花の色は うつりにけりな いたずらに
わが身世にふる ながめせしまに
ん~ セツナイ
・・・華やかに着飾って 人前でピアノ弾く機会なんて もう無いな
グランドピアノも 衣装も 捨てようと決めた日
大きめのビニル袋を手に クローゼットに向かった
ピアノ弾きだった頃の衣装を 次から次と袋に放り込んだ
黒のロングスカート 総レースの白いワンピース
淡いピンクのブラウス 光沢ある紫のシャツ etc.
・・・捨てることができずにいたなんて 女々し過ぎだわ
・・・過去は過去だ
ブツブツと 自分に言い聞かせるように 断捨離した
そう 過去は過去
自分はいつだって自分が決める
後日 引取りのトラックが来て 広くなったリビングは
新しい何かを始めれば♪ と誘っているかのようで
そこは トレーニングスペースになった
ピアノを捨ててから 花瓶に花を生けることもやめた
過去の自分が らしくなかったということではなくて
誰にでも 変われる余地があるなら
それをためらうことなく やってみればいいのだと思う
もし 迷っているというあなたは シアワセな人
それだけ余地があるということ
失敗を恐れていたら 何も始まらない
とにかく やってみる イッショウケンメイ!
それでいい
イッショウケンメイやっていたら
次へと きっと 繋がっていく
だからいま
迷っているあなたは シアワセ者
Don't give up the fight!