流れる水を見たことがなかった空にゃんは
最近 空にゃんがバスルームにいる
バスルームに入ったことは 今まで一度も無かった
突然どうしたことかと驚かされる
凜にゃんが天国へ旅立つ前日
ポツンと座って 天井を見上げていた姿が目に焼き付いている
凜にゃんが その日初めて入ったバスルームだった
空にゃんもその時が近づいているのか、、、
16歳 人間でいえば80歳
長生きする猫は20年でも生きるけど
空にゃんとの別れの日が近づいていることを覚悟する
バスタブに入って 僅かに残った水をなめている
「ナニ？！ 空にゃん どうしたの？」
バスタブの水をなめるなんて16年間に初めてのことで驚いた
器に新鮮な水をいつでも飲めるようにしてあるのに
ただ 気分転換したいだけなのだろうか？
そんなとこで飲むんだったら と思って蛇口を軽くひねってみた
「ほら 空にゃん 川流し♪」
チョロチョロと流れる水は
小さな川になって空にゃんの足元を流れたけど
不思議そうに見つめるだけで飲もうとはしない
ハッと気づいた
空にゃんは流れる水を見たことがない！
保護される前（生まれてから６か月間ほど）に 流れる水を見たことがあるのかどうかは知らないし その頃の記憶がまだあるのかどうかもわからないけど
ウチに来て16年 空にゃんは流れる水を初めて見た
翌日
空にゃんに誘われてバスルームに向かった
流れる水を飲んでみようと思いたったのか？
振り向きながらバスルームに向かう空にゃんのあとについて行った
細く水を出すとまずは20秒ほど 流れる水を不思議そうに見つめてから舌をぺちゃぺちゃさせた
それからもう１週間 毎日
バスルームに行こう！とテレパシーを送ってくる
毎回不思議そうに20秒ほど見つめてから
美味しそうに飲み始める
空にゃんは「流し水」を日課に加えるつもりらしい
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ウチに来た初日 空にゃんの猫パンチで右手の平をえぐられた
威嚇のシャーッはハンパなく
空にゃんは 凜にゃんを背に必死に守っていた
今の”甘えた猫”とは別格の立派な”野生猫”だった
保護された時の凜にゃんは（左写真）ヒザ下ちぎれた足から血をポタポタ流していたという
そして 獣医の判断で切断手術 （右写真）
人間不信に怯える兄妹猫を
とにかく癒してあげたい一心で引き受けた
保護活動されているYさんからにゃんずを迎えた日
Yさんから幾つかの約束事の確認があった
決して家から出さないこと・生涯面倒をみること・・・
確かに 外は危険がいっぱい
特に３本足になってしまって神経質な凜にゃんのことを想像するだけでも 保護したことは間違ってはいなかったと思っている
安全な環境と食事と愛情を保障された分 野良よりは恵まれたといえるだろう
「今日から お坊ちゃんお嬢ちゃんになったね」 とおっしゃったYさんの言葉を思い出す
けど 時々思うことがある
野良のオス猫は5km四方を歩き回るらしい
流れる水や 渡る風や 自分で見つけた細い抜け道や
たくさんのことを目にして冒険したに違いない
危険も多くて 寿命もさほど長くはないとしても
空にゃんはそっちを選びたかったかもしれない
流れる水を初めて見た空にゃんが バスルームを日課に加えたいと思ったのなら せめて 毎日ついて行こう
生き物と暮らすのは空にゃんが最後と決めている
ご訪問ありがとうございました
感謝☆
