無知の知ノート

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西の山のおばあさんと 土地の話と 松茸採り   

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初めて松茸採りを体験したのは  

西の山(ウチから西にあるので勝手に名付けている)に住む おばあさんのお誘いだった 

 

おばあさんと知り合ったのは 偶然のこと 

 

ウチの前の道路は 街の中央にあるスーパーから西の山へと続く道で  

夏の熱い日 水路向こうの歩道を  

重たそうなスーパーの袋を両手にしたおばあさんの姿が リビングの窓から見えた 

 

少し歩いては立ち止まり 道路に袋を降ろし 少し辛そうに見えた   

しばらく様子をみていたのだけど 山への坂道を行くらしい 

 

追いかけて「荷物お持ちしましょうか?」と 声をかけた 

 

おばあさんの家は山を少し登ったところにあった 

代々この土地に住まれていて 門構えや塀も立派な大きな家で 

玄関には 巨大な木の根っこ?が置かれていた  

 

「お茶でも」 と誘われて 一緒に台所まで案内され 

初対面の私が お湯を沸かしてお茶を入れたww 

おばあさんの家の庭からは 広がる住宅街が見下ろせた 

 

帰り際 「また遊びに来なさい」と言われ 

その頃 自治会広報部だったこともあり  

www.rairi.xyz

  

宅地開発される以前のこの辺りの話も聞きたくて 

何度か伺ううちに すっかり友達気分になっていた 

 

おばあさんの話は とても興味深かった 

 

「ちょうどあんたの家の辺りは キツネやタヌキの水飲み場だったよ」

 

ウチの前の道路向こうは 水路になっていて 

そこは昔 山からの小川が流れていたらしい 

今はガードレールとコンクリートで整備されて 面影もない  

 

あばあさんの庭から ウチが小さく見下ろせた 

想像した 

緑で覆われた山の中 川へと続く獣道は ちょうどウチの辺り  

小川は 動物たちが集まる水飲み場だった  

 

・・・複雑な気持ちになった 

宅地造成が始まり 山は削られて平らになり 街が広がった  

 

今でも車を走らせていると時々見かけるシカやサルやイノシシやキツネやタヌキ 

みんなの生活がそこにあった 

追い出され 逃げるしかなくて、、、そのあとに 私たちは暮らしている 

 

・・・申し訳ない 

そんな一言では済まされない気がして 胸が熱くなった 

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秋になって おばあさんが所有する山に 誘われて入った 

小道からロープが張られ「立ち入り禁止」の札がアチコチに立てられていた 

 

禁断の地に足を踏み入れるドキドキを感じながら おばあさんについて歩いた 

前を歩くおばあさんの足取りは頼もしく 採り方を教えてくれる手は優しかった 

 

いただいた松茸は 帰宅後早速 

炊き込みご飯と お吸い物と 焼き松茸にしていただいた 

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「来年もまた来ればいい」 そう言ってくれたおばあさんは翌年 亡くなられた 

今は息子さんが実家へ戻り 山の管理もされている様子 

松茸山への道順は もうすっかり忘れてしまった  

たとえ覚えていたとしても 立ち入ることは許されない土地 

 

おばあさんの優しい笑顔や物言いは しっかりと覚えている 

 

おばあさんから聞いた昔話は 結局 自治会広報には書かなかった 

なんていうか、、、おばあさんと私の 大切な思い出として しまっておきたかった 

 

 

ご訪問ありがとうございました 

感謝☆ 

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