「ドッペルゲンガー」1/3(私的体験未解決ファイル)
インストラクターという 仕事柄 初対面でもよく声をかけられる
仕事場以外の街角などで声をかけられた場合
時には
・・・誰だっけ と思いながら会話を合わせてしまうこともある
先日もそうだった バス停で声をかけられた
いつもはマイカーでの移動が多く バスや電車を利用することは滅多にないのだけど 飲み会の約束があって 久々のバスだった
「先生 お久しぶりです 何年ぶりでしょうか あのクラブではもうレッスンされないんですか?」
30代後半くらいのその男性の口調はとても親しげで
過去に私のレッスンを受けてくれた人には違いないけど
どこのクラブで会った人なのか
見覚えはあるけど名前が出てこない
自分のダンス教室を主宰するようになってから
フリーレッスンの仕事は代行を頼まれた時以外にはやっていないし それも最近ではないから
もう何年も前に出会った人なのだろう
「お元気そうで! お久しぶりですっ!」
職業病にしても 大きな声でムダに明るく喋ってしまう自分が キライ
バスに揺られる間 彼の近況をたっぷりと聞かされて
・・・聞き上手やん 私 と ちょっと自分を労った
15分ほどで終点の駅前に着いて 別れ際の彼の言葉が
バスを降りてからも 引っかかっていた
「何度かお見掛けしてたんですよ 先月も駅前のツタヤでCD見てたでしょ?」
ツタヤ? 昔はよく行ったけど 先月なんて 行っていない!
仕事で使う音源は iTunes でダウンロードするようになってから
CDを買った記憶も遠い
また出たのかっ! 私のドッペルゲンガー
奇妙過ぎたあの日々のことが蘇る、、、
「ドッペルゲンガー」1/3
愛犬と散歩ついでに 電気店へ寄って
門灯用の小さな電球を買おうと
千円札を1枚 ポケットに入れた
切れたままの電球が ずっと気になっていた
門灯用の特殊な電球は スーパーには置いてなくて
確か 電気店があったはず
車から見た覚えがあった
記憶を辿りながら 北方向へ歩いて行くと
次のバス停近くに 小さな電気店を見つけた
リードを 歩道の街路樹の柵にくくって
初めて入るその店の ガラス扉を押し開けた
切れた電球をポケットから出して見せると
店主の男性は商品棚のところを ガサガサと手で掻き分けて
微妙にサイズの違う商品たちの中から
同種の電球を 探し出してくれた
それを 奥さんらしい女性が受け取り レジを打つ
つり銭を手渡されながら
女性の問い掛けに 私は当惑してしまった
「ワンちゃんは 元気?」
「えっ?」
「ワンちゃんが噛むからって
よくイヤフォン買いに 来てくれていたでしょ」
「いえ・・・私じゃないです・・・」 暫く固まってしまった
「いやぁ よくイヤフォン噛まれていたでしょ」
覚えているわよ~と言いたげに 満面の笑み
「ほら あのワンちゃん」
歩道で待たせている愛犬は
近くのブリーダーさんで
引き取り手なく残っていた成犬の1頭を
貰い受けたハスキー犬
その私にそっくりな人も
ハスキー犬を飼っているのか!?
うちの犬はイヤフォンを噛んだことなど 1度も無い
いくら否定しても
その笑顔は あまりに自信たっぷりで
・・・もしかして 私 イヤフォン買いに来たっけ?
思わず 記憶を辿ってしまった
いやいやいや 無い! 初めて来た店だし!
「あらぁ ごめんなさい・・・じゃ人違い? としたらソックリ」
「そんなにソックリなんですか?」
「もうまるで同じ! 年格好も雰囲気も 髪型も」
「その人が来られた時 会いたいって伝言 お願いしてもいいですか?」
名前と連絡先を伝えて 電気店から帰宅した
つづく
ご訪問ありがとうございました
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