巫女(みこ)だった
気軽に始めたアルバイトのつもりだった
15歳の時
たまたま神社関係者に声をかけられて
神社に隣接する結婚式場で
巫女(みこ)をすることになった
白い着物 白足袋 赤い袴、、、
装束(しょうぞく)だけでも 嬉しかった
カシコミ~ カシコミ~
神主さんの 祝詞(のりと)の後
三々九度(さんさんくど)のお神酒(おみき)を
一回 二回 三回目と少しづつ
新郎新婦の盃に注ぐ
お正月といえば
毎年 寒い社殿に座っていた
暖房は火鉢だけという
巫女だったいう過去
オコガマシクテ 恥ずかしいという思いが
今も消せない
特にお宮参りの ”鈴払い”という儀式
おじいちゃん おばあちゃん 御両親に囲まれて
真っ白な着物に包まれた 小さな大切な命
その頭上に 手首を回しながら 鈴音を立てて お払いする
無宗教のこの私が・・・ ほんと ごめんなさい
でも
鈴を握り 手首で回しながら 心から祈った
この子の人生が 幸せでありますようにと
そんなアルバイトの ある日
伝承の神楽舞(かぐらまい)を教えるから
踊り手にならないかと 声をかけられた
何ごとも体験主義! 即答で弟子入りし
片道1時間以上かけて 毎週末 神楽舞を習いに通い
数カ月後
剣(つるぎ)の舞・鈴の舞・扇の舞・鈴扇(すずおうぎ)の舞・・・
いくつかの神楽舞を それなりに踊れるようになって
夏祭りの時期には 各地の神社へ連れられ
神楽舞を奉納した
篳篥(ひちりき) 笙(しょう)
神楽笛(かぐらぶえ) 鼓(つづみ)
宮太鼓(みやだいこ)・・・
和楽器の音色は
結界をはるかのように
その場の空気を引き締める
その神秘的な音色に囲まれて
神前で踊る 神楽舞(かぐらまい)
まるで異空間で舞っているような 錯覚を覚えた
夏といえば
祭りに合わせて 神社を巡った
社殿から眺める境内は
賽銭箱を境にして 非日常の賑やかさ
お面の店 リンゴ飴の店 ヨーヨー釣り・・・
裸電球の連なる露店の間を
ゆかた姿の子供連れの親子や 手を繋ぐカップルや
仲良さそうな老夫婦や 友達のグループ
ぶつかりそうで ぶつからない距離を楽しむかのように
大勢の人々が 晴れやかな表情で行き交っていた
勢いついて投げられた賽銭がぶつかって
時折 痛い思いをすることもあったけど
舞いの出番を待つ間
ただぼんやりと そんな風景を見ているのが好きだった
神楽舞が始まると
賽銭箱の向こう側に ひと時
群集の足が止まり 注がれる視線を感じた
もしかして
誰かの夏祭りの思い出の中に
私の舞い姿 残っただろうか
千早(チハヤ)を羽織り 社殿で神楽舞を奉納する姿を
父が撮ってくれた写真
ご訪問ありがとうございました
感謝☆