怖かった宿(ひとり自転車旅~⑭)
半年間ひとり旅の中でも
あの夜のことは鮮明に記憶に残っている
夕刻になって 走行距離はすでに100km近く
計画も無くペダルを踏んでいた自分を 少し後悔していた
シュラフは積んでいたけど
できるだけ野宿は避けたかったから
「○○○○旅館」の看板を見つけた時にはホッとした
古びた旅館の薄暗い入り口は陰気な感じがしたけど とにかく眠れる場所が見つかった
自転車から荷を下ろし 案内された部屋は
従業員控え室?のような
布団ひとつは敷ける という小さなスペース
入り口は引き戸で 鍵が、、、こんなやつ
絵ヘタだけど伝わります?
・・・こんな鍵!? 戸をガシャガシャとすれば外れそうな
もうこの時点でコワイのだけど
疲れていて とにかく眠りたくて
贅沢は言っていられなかった
鍵が気になって
深夜 引き戸の方へ目をやった
開いてる!引き戸が僅かに開いている!
そして 目が!
隙間から コチラをじっと見ている目が!
コチラから睨み返しても
動じなく凝視してくる目に 背中がゾクッとした
鍵は確かに引っかけたハズ、、、
布団から出て確認する勇気はなく
睨み合ったまま、、、
ぐっすり眠ってしまったようだ
気付けば夜が明けていた
「 疲労は恐怖に勝つ ってことにゃのね」
朝 戸は閉まっていたけど鍵は外れていた 掛けたハズなのに、、、
旅館を出る時 女将さんが
「女性のひとり旅は心配なんですよ 自殺する人もいるので」
能面のような表情とその目!
覗いていたのは女将さんだった?!
何も聞けなかった
あの睨み合った仕草は それはそれでコワイし
掛けた鍵が外れて引き戸が開けられたことも
それに もし「いいえ~」なんて言われたら アノ目は?ってなるし
何も聞けないまま、、、
あの目を思い出すと 今でもゾクッとする
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思い返せば
こんな所でよく眠れたよな~って 自分に驚く
真っ暗な広い本堂の真ん中にひとりだったり
一昼夜ペダルを踏み続けて 電話ボックスで眠ってしまったり
野宿の人も忘れられない
例えば フツーのビジネスホテルでも
女ひとり旅は油断禁物
「従業員室で3人でゲームしてるからコッチ来て遊ばない?」
内線電話でしつこく誘われた
誰が行くかよ!ひとり旅してるから寂しい?とか思うなよっ! ←心の中で叫んだ
従業員教育ができてない、、、内側ロックしてイスも置いた
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ウワサの幽霊トンネルで 霊?が背中に重く乗ってきたり
ウシガエルが一晩中鳴き続けて(当時ウシガエルの声と知らず)
気味悪くて眠れなかったり
いろんな「コワイ」はあるけど
ある意味 人間がいちばん怖い、、、かも
ご訪問ありがとうございました
感謝☆