無知の知ノート

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ワタリガラスに勇気を試された 

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ワタリガラスをご存じですか? 
北アメリカやユーラシア大陸北部に生息するカラスで  
日本では北海道だけに飛来する 

 カラス科では最大 ( 翼長は1m前後 )

 


先日TVで「ワタリガラスの伝説」の話があって 

・・・あの時の巨大カラスは・・・と 蘇る記憶 

人生の中で一番 恐怖と戦った瞬間かもしれない体験   

 


自転車でひとり旅をしていた北海道でのある日 

出会う人もいない大自然の中の一本道 

 

10mほどの木の橋があって 
車1台がどうにか渡れるだけの幅 


その欄干にびっしりとカラスたちが並んでいた 

 

それまで見たことのない大きなカラスたち 

 

その時は知らなかったが 
ワタリガラスだったに違いない 

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漆黒の羽色 
異様なまでに鋭い眼光

 

欄干の両サイドから

15羽以上の全員がコチラを見ている 

 

私はというと 

シュラフやら荷を積んだ重い自転車のハンドルに 
両手は使われている 


もし 飛び掛かってこられたとしても 
目を守ることさえできない 

 

足がすくんだ 


この橋を渡らなければ先へ進めない 
 

 


 

目前に山が崩れてきた時には 
谷側へ落とされる不安を押しのけて 
自転車を担いで 崩れそうな道を進んだ 

 

でもこの時ばかりは
足がすくんで 心臓がバクバクした 

 

 

その鋭い眼光からは 

「通れるものなら通ってみろ」と聞こえる 

まるで勇気を試される冒険ファンタジーみたい 

 

カラスたちの表情から 頭が良さそうなことがわかる 


いつまでも立ち止まっていては 臆病者だと見抜かれる 

 


怖がって腰を引いてしまえば 襲われる気がした 

 

・・・堂々と胸を張って進もう それしかない 

 

そう心に決めても  
なかなか足が出なかった 

 

「怖くなんかないよ」 

 

カラスたちには聞こえないくらいの声で呟いてから 
大きく息を吸って 鼓動を整えた 

 

サドルに跨って ペダルを漕いで走り抜けるのは 
なんとなく カラスたちに失礼な気がして  


ゆっくりと歩いた 
重い自転車を右側に押しながら 

 

・・・デカイ

 

体も顔も 怖いくらい大きいカラスたちと 目が合った 

 

 

 

静かに 見守るように 通された 

 


橋を渡り終えてから
また聞こえないくらいの声で呟いた 

 

「勇気を試してくれて ありがとう」

 

 

魂をギュゥッと捕まれるような体験  


旅の醍醐味って そんなところにあるのかもしれない 

 

 

ご訪問ありがとうございました

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